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四万十の恵み物語「手間ひまかけたおいしい青のり」[有限会社 加用物産]:青のり、青さのりなどを使った製品の製造。(高知県四万十市井沢)

岡上善博さん(左)高屋修さん(右)

岡上善博さん(左)
高屋修さん(右)

  今回お話をうかがったのは、有限会社 加用物産 専務の岡上善博さんと有限会社 四万十食品 工場長の高屋修さんです。
(有)加用物産は、明治40年に創業しました。創業以来ずっと四万十川流域でとれる『青のり』や『青さのり』にこだわって食品をつくってまいりました。創業当初にはなかった製造工場は、現在では月に2トンもの(乾燥した状態の)青さのりを加工するようになり、皆様においしくて安心して召し上がっていただくための安全な食品づくりをテーマに、日頃より職員一同が従事しております。

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『青のり』と『青さのり』をご存じですか?!

『青のり』と『青さのり』をご存じですか?!

会社外観

会社外観

当社が創業以来あつかっている地元高知県の四万十川で採れる天然の『青のり(「スジアオノリ」のこと)』や『青さのり(「ヒトエグサ」のこと)』は、四万十川の淡水とその河口部の海水がまじりあった塩分の少ない汽水域といわれる所でないと採れません。汽水域は、海水面が潮の干満によって変動するため、満潮時には海水は河口をさかのぼり、干潮時には淡水がより下流まで流れ込むという影響を受ける範囲でもあります。
『青のり』は川底の石ころに胞子が付着し、適度な水温によって発芽します。生育するには、窒素、リン酸、カリウムの3要素がバランスよく混ざり合い、淡水と海水の割合が約6:4の場所が最適だと言われています。また朝日が昇ってから約3時間で数十センチも急成長することもあるように、成長には光も重要な要素の一つです。だから四万十川のように透明度の高い水ほど、その光が川底まで到達するので『青のり』の成長を手助けするのです。漁期は12月~3月頃までがピークで、水温のもっとも低い時期に採れたものほど品質が良いとされています。そして採れた『青のり』は川原のよく太陽のあたる場所でヒモなどに吊るして、四万十川の強い川風にあてて干しあげます。これは当社でも特に品質の良い(等級の高い)物を『四万十川 青のり原藻』として昔から販売しておりますが、その年々によって大量に採れなかった場合は休売することもあるので手に入らない年もございますが、四万十川の天然青のりは、カルシウムやビタミンAといった栄養素が豊富に含まれています。そして、他の河川と比べると、見た目は葉が細く色鮮やかで、香が高いのが特徴です。
召し上がり方は、軽く火に焙るか、フライパンなどでから炒りすると、サクサクとした歯ざわりで、その独特な芳香が口いっぱいに広がります。このようにそのまま召し上がっていただいても結構ですし、うどんなどにトッピングしてもグ~!です。
『青さのり』は四万十川では養殖されていて、といっても四万十川の自然な状態で養殖しているので、同じ年に採取したものでも繊維質や塩味加減、色に至るまで多少の違いが出ます。その生育条件などは『青のり』と同様なのですが、見た目は異なり、偏平な形をしていて、とても柔らかく、光沢があって色も鮮やかな緑色をしています。採取時期も『青のり』とほぼ同時期ですが、採取後は平らな網かごに板状に敷いて天日に干します。『青さのり』も袋詰めして販売されている場合は、ワカメのように水で戻すと少し目方が増え、こちらもうどんなどにトッピングしてもグ~!です。

丁寧に手間暇をかけて

丁寧に手間暇をかけて

当社でも機械を導入しており包装や製造過程で時間短縮をはかっております。しかし『青さのり』に混在するゴミを取り除く作業というのは、昔とかわらず、人の手がかかっています。金属探知機も併用しておりますが、おもに除去したいゴミは人間の力を借りないと除去できないのです。
『青さのり』は仕入れるときは乾燥された状態ではいってくるのですが、この状態のときにはまだ自然な環境の中で水あげされる際に付着したゴミが混在しています。例えば、草木の破片など水に浮くものだったり、または逆に石の粒などのように水に沈むものだったりいろいろです。そこでまずは『青さのり』を水でもどします。それから何段か水流のある水槽へ流し、浮くゴミと沈むゴミをとり除いていきます。そして、その水流でおとしきれなかったゴミもありますので、見落としのないよう人の目視によって確認し、手作業で選別しています。このように私どもの『青さのり』の加工には、人による手間を欠かすことが出来ないのです。

こだわりの『四万十川産 青さのり100%』

こだわりの『四万十川産 青さのり100%』

当社では、四万十川の地元の天然青のりを活かして美味しくて健康に良い商品を作り出していきたいとう思いで商品開発を行ってきました。
そこで、無添加で四万十川産青さのりを100%使用したこだわりの一品『川のり佃煮』を作りだしました。製品になってから4年になるでしょうか。この佃煮は地元の『青さのり』を2時間煮詰めていますが、それでも食感はしっかりと残っています。味は『鰹味』と『醤油味』の2種類あり、どちらとも有機のしょうゆを仕入れて使用しております。味付けは社員で何度も試食し、薄味にこだわって今の味が完成しました。また他の商品と異なるポイントとしては、出来上がった製品に粘り気を出すため、通常はカンテンや増粘多糖類を使用するところを、こちらの製品は地元でとれる海藻の『ふのり』を使用しています。『ふのり』の自然な粘り気が益々おいしさを引き立てております。本当に美味しくて丁寧に仕上げておりますので、ぜひご賞味ください。ご自宅用にもご贈答にもピッタリです。
当社の佃煮の製造している様子を一部お見せいたします。
  • 製造の様子
  • 1.混在する不要なゴミなどを丁寧に除去しています。きれいな緑色をしているのが『青さのり』です。
  • 製造の様子
  • 2.不要なゴミなどを全て除去したまっさらな『青さのり』です。色に違いがあることが見た目にも分ると思います。
  • 製造の様子
  • 3.ダシや味付け調味料とふのりを混ぜています。
  • 製造の様子
  • 4.3の中に2の『青さのり』を投入しました。これから2時間かけて炊くところです。
  • 製造の様子
  • 5.出来上がった佃煮を機械が計量してビンへ詰めます。
  • 製造の様子
  • 6.蓋を機械が密閉します。
  • 製造の様子
  • 7.密閉した状態の製品をビンごと熱湯につけ、殺菌します。そして機械でラベルを貼り、完成です。
  • 川のり

四万十川とともに

四万十川とともに

私たちは四万十川の貴重なめぐみをいただき、製品づくりをしています。そのため四万十川を大切に思い健康に良い美味しい商品づくりを益々めざしております。近年いわれる温暖化や暖冬など気候の変化で影響があるのか決め付けることはできませんが、この大切な四万十川も一昔前に比べると、ずいぶん水量も減りました。また川底がにごってきているようだという声もあり、台風が来ないとそのにごり具合が留まるせいか特にその影響もあるようです。地元の漁業組合や産官学の研究を行ってくださる方など、情報交換や協力をいただきつつ、私たちも当社でできるアプローチをしながら、これからも四万十川とともに、健康に良い製品づくりを行っていきたいです。

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