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切磋琢磨物語「洋菓子を通して深める交流と研究」[高知県洋菓子協会 ]:洋菓子技術の研究と会員交流(高知県高知市)

代表 山本隆三会長

代表
山本隆三会長

今回、お話を伺ったのは、高知県洋菓子協会の代表者 山本隆三会長です。山本会長は、洋菓子店である有限会社ロマンドの代表取締役会長でもあります。
『高知県洋菓子協会』では、中央(東京・大阪・京都など)とのつながりも強く、毎年有名講師を招き、洋菓子の講習会を開いて会員の技術向上をはかっています。また今年は『高知県洋菓子協会』の設立から、ちょうど50周年の年になります。それを記念して2010年5月31日には50周年記念式典が、三翠園(高知市鷹匠町)にて出展作品数70点程(予想)を展示して開催される予定です。一般入場も可能ですので、ご興味のある方は一度足を運んでみてはいかがでしょうか。


会員同士の活発な交流・研究活動

 高知県洋菓子協会では、定期的に講習会や研究会を開いて、皆で技術の向上や商品開発に取り組んでおります。更には、技術コンテストも実施して、その成果を競い合ったり、アイデアを共有したりしています。その他、施設を訪問して、そこでケーキ作りをするなども当組合の活動の一つとしております。
 高知県洋菓子協会の会員は、皆さんとても仲が良く、情報交換など旺盛です。また先程も述べたように、年間を通じて、まめに講習会を開き、新しい情報を、常に取り入れられる環境づくりに努めております。

GATEAUX(ガトー)誌

GATEAUX(ガトー)誌

 皆様はご存知でしょうか?『ガトー』という機関誌を!
 これは、洋菓子に関連する情報誌で、(社)日本洋菓子協会連合会が発刊する機関誌です。洋菓子関連の最新情報なども掲載されるので、洋菓子関係者や、興味のある方にとっては、必読するべき機関誌ともいえます。
 ガトー誌は、毎月無料で発刊されますが、誰でも自由に購入することはできず、会員にだけ、届けられる機関誌なのです。そのため購読をご希望される方は、全国にある53協会のいずれかに所属していただく必要があります。
 しかし、入会するといっても、特に入会資格は不要で、『洋菓子に関心のある方』であれば、年齢、性別、学歴、経験年数を問わず、またプロ、アマも関係なく、すべての方が入会できます。
 入会をご希望される方は、現在お住まいの都道府県の洋菓子協会まで、電話あるいは手紙でお申し込みいただければ、加入することができます。

 洋菓子の世界は、それを食べる人の目線では分かりにくいかもしれませんが、造り手にとっては、製作技術や材料、または道具についても、その最先端技術は日々進化しておりますので、関連する情報の入手については欠かせません!

高知県洋菓子協会の良い体質

 高知県洋菓子協会の会員たちの長所と感じるところは、そんな新たな情報も受け入れられる心があり、他県の方たちとも親睦を深められるという点ではないかと思っております。
 例えば、前会長であった古味さんの働きかけで、中四国ブロックが誕生したのですが、あれから今年で9年目になります。その繋がりがあったおかげで、関東関西はもとより中四国の交流は頻繁に行われ世界に羽ばたくパティシエの講習を受ける事ができます。

洋菓子まつり

p洋菓子まつり

 第1回『洋菓子まつり』は、1990年6月に高知大丸さんの5階にて開催いたしました。会場を借りるまでに何の伝手も無かったのですが、とにかく、高知大丸さんをお借りしたいということで、押しかけるように依頼に行くと、受付た人は、たいへん驚いた様子だったのを今でも覚えております。
 その『洋菓子まつり』は、高知県下の地区を宿毛地区、中村地区、高知地区などのブロックに分け、グループ作品や個人作品を出展してもらうというものでした。
 地区別にグループ分けをしましたが、そのグループの人たちは、それまで全く面識の無い若者たちを集めておりましたので、どのような事になるのかと思っておりましたが、事前に週3回くらい集まっては、アイデアなど出しあい、結果的には大変な大作を作り上げてきました。当時は、新聞にも6回にわたり取り上げられ、『洋菓子まつり』は、とても大盛況の内に終えることが出来たことでした。
 当時、中心になって出展作品の製作にかかわった人は、その後実際にお店を開いた人が多いようです。

研究心と独創性と行動力を!

研究心と独創性と行動力を!

 洋菓子が高知に入ってきて盛んになっていたのは昭和40年頃くらいからです。当時は、まだ業務用の材料など無く、バターに関しても、輸送の冷蔵技術が現在のようにありませんでしたから、腐らなよう保存するため、有塩のバターしか手に入らず、無塩バターなどない時代でした。そのため、お菓子作りをしようとする前に、まずはバターの塩分を取り除く作業をすることが当たり前でした。
 その他の材料に関しても、現在のように何でも材料がすぐにそろいませんので、材料づくりから始めたものです。
 そんな当時の事を思い返すと、お菓子づくり以外に、物が無い時代でしたので、なんでも自分たちで工夫や原理などを学び、作っては失敗し、試しては発見したりして、色々なものを自分で作っていました。
 お菓子づくりで言うと、もちろん『レシピ本』など1冊もありませんので、思うように様々なもの物を混ぜて作ってみた事でした。
 私がいつも口にするのは、「粉とバターと砂糖と卵が有れば、どんなお菓子でもできる。」と言っております。
 同じ原材料なのに、パイやシュークリームやクッキーなど形の異なるものができる。
 そう!ここが重要で、なぜ、同じ原材料を使って、パイは浮き上がり、シューはふくらみ、クッキーはサクサクするのか?!その理由には材料の量や性質、熱の加え方や混ぜるタイミングなどによって作りだされるという原理があります。これを体験したり学習すれば幾重にも応用できるものになるのになと思うのですが、少々残念なのは現在の物資環境が豊富な時代であるため、レシピ通りに材料をそろえ、その通りに作り上げてしまうので、それしかつくれないということです。
 こうしたことで、与えられたものが無いと作ることが出来なかったり、洋菓子を造るという研究心や独創性や行動力が失われたり、しつつあるのではないかと危惧しております。

活発な行動力と発展を応援します!

 私たちは「洋菓子技術の向上と会員相互の交流」を運営理念として活動しておりますが、日々、感じるのは、すごいスピードでこのものづくり業界も変化しているということです。
 高知という地方にいても、日々変化していくこれらの情報を公開・発信していくために、講習会や研究会を定期的に開催しています。この他にも、まだ思想の域ではありますがこれからはホームページなども利用して情報の公開と発信をしていかねばと思っております。もっともっと、高知県洋菓子のものづくりの世界が広がり、発展していくことを願っております。

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