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安全と品質物語「生姜に夢を求めて」[株式会社あさの]:生姜(高知県香美市)

浅野 壮一郎さん

浅野 壮一郎さん

今回お話を伺ったのは、株式会社あさの の浅野 壮一郎さんです。株式会社あさのは、昭和25年に創業し、生姜の原料メーカーとして地域の生姜栽培農家と共に発展すべく日々、進化をしているようです。本社は、高知県香美市土佐山田町にあり、併設して工場があります。その他にも高知県の西部(高岡郡四万十町)にも工場がありまして、現在では、従業員数は本社工場だけで120名在籍しており、当社全体では約220名にいたるそうです。
高知県は生姜の生産量が全国一ですので、そのなかでも品質の良い生姜を供給するため、日々、努力をされてこられた様です。

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高知県産のおいしい生姜 安定供給に自信あり!

高知県産のおいしい生姜 安定供給に自信あり!

工場

 当社では、高知産のおいしい生姜を確実に安定供給できる力があるという点では自信があります。
 生姜は特に夏場や年末など、注文が集中する時期はありますが、年間を通じて需要がありますので、それに応えられる量を常に貯蔵・保管し、出荷できているという点では、簡単な様ですが、実は青果物だけになかなか難しい事をクリアしているのではないかと思っております。このような点がユーザ様から信頼を得ているのではないかと自負しております。
 当社の貯蔵能力は、年間にほぼ一度しかない収穫時期に農家から一度に買い付けをおこなっても、大容量の貯蔵庫があるため、年間販売する量を貯蔵・保管することができます。
 また創業以来、生姜での商売をしてきた長い歴史があります。たとえば私どもでは、生姜の買い付け価格については市場の上げ下げがある中、農家様が困ることの無いような買い方をさせていただいたりもして、共に歩むできた歴史があるのなかで農家様とのつながりも強いものとなっております。
 このように産地との強いつながりにおける美味しい生姜の仕入れと貯蔵能力において、充実したものを確立しておりますので、お客様のご注文に応じて、安定して生姜を供給することができております。

高品質を出荷!原料を無駄にしない体制

高品質を出荷!原料を無駄にしない体制

 当社の生姜は、土つきのものを原料として関東方面へ出荷することもあります。それから、歩留りと言って、原料である生姜をいかに無駄にすることなく商品化するかという割合があります。それについては、他社様では年間通じて8割~8割5分くらいのところ、当社では6割5分くらいにしています。もちろん歩留りは落としたくないところですが、その2割の差については、いかに高い品質の青果品を提供できるかという点を重視しているからなのです。たとえば当社では非常に丁寧なトリミング作業をしております。いかに丁寧な作業をして高いクオリティの商品を出荷するかという点に重きをおいて、歩留りを落としてでも良い商品のみを出荷させて頂いております。
 しかしながら、その2割についても、もちろん無駄する事はしておりません。当社では、生姜の加工品も製造しておりますので、青果品として出せそうな生姜でも、逆に思い切って加工品にまわしております。もちろん加工に用いる生姜も同じ生姜で、たいへん良い品ではありますが、キズ物や見た目の形状、サイズ的な面でどうしても青果品としては出荷できないものが出てきますので、そういったものを上手く利用しているのです。このように多く仕入れた量の中から、青果品として選りすぐりのものだけを出荷することができますし、またそうすることで、加工用としてその高い品質レベルの原料を使う事ができますので、生姜を無駄にすることなく、青果品としても高いクオリティを維持する体制ができております。このように自社において、青果品と加工品の両方を製品化し出荷できているという点は、高い品質の商品を供給できている点、生姜を無駄にしないという点で、大きな強みになっています。というのも例えば、青果品のみ出荷しているところであれば、歩留りを上げようとするはずですから、当社レベルでは加工用にする品でも青果品として出荷することがあると思われるからなのです。
 結果的に当社では、品質面や無駄を省く事で、全体的な利益を出していける仕組みを確立しているのです。

高品質を出荷!原料を無駄にしない体制

 実際に青果市場に出荷させて頂いても、たいへんこう評価をいただいております。価格もそれなりに高値で取引されるので、もちろん生産農家さんの頑張りもあってのことですが、業界的には産地のブランド力のある業者の一つであると思っています。
 商品は、海外から流通してきたものなどに比較すると価格は高めかとおもいますが、それだけの味と品質がありますので、仕入れて下さっているメーカー様やスーパー様などには、一度使っていただくと、とても気に入って頂き、続けてご利用くださっています。

生姜の生産から出荷まで

生姜の生産から出荷まで

 天候の被害をうけやすい生姜は、長雨や台風が少なく干ばつもなければ豊作になることが多いのです。そのため地域的に豊作の年はどの畑でも大量に採れます。また近年、作付面積が年々増加傾向にあります。高知県の中だけでも増加傾向であるようですが、関東・九州などでも増えているそうです。しかしそんな中でも、高知県産というのは、高品質でブランドとしても高い評価を得ているのです。
 生産者とのつながりは、仲買人から買い付けをしております。自社農園もあるのですが、そこだけでは十分な生産量を賄いきれない上、作り始めてまだ6~7年目を迎えたほどですので、専業農家の青果物のようにまだまだ上手に作れていないのが実状です。
 また消費者の食に対する安心・安全への関心が高まっている昨今、企業として信頼と信用が一番大切です。そのためにも仲買人・生産者名・生産番号・個数・種類・大きさなど、生産者までその履歴がさかのぼれるよう、トレーサビリティにも力を入れています。何の品種かはもちろんのこと、どこの産地と生産者まで遡ることができる管理体制ができています。

生姜の生産から出荷まで

 さて、収穫したばかりの生姜は、茎がついた状態なのでそれをカットする作業があります。ただ茎の根本からカットするわけではないので、カットしたときにはまだ少し茎の根本部分が残っているのですが、それは1~2か月するとなんと自然に溶けるように落ちて無くなります。生姜自体も白っぽい色から飴色になって、そうなるとスーパーの店頭などでよく目にする様な状態の生の生姜になり、そうなると出荷できるようになります。
 生姜は、1年に1回(11月)収穫をしますが、需要は年間を通してあるので、年に1回収穫したものを出荷できる状態にして、すべてを貯蔵するための大きな貯蔵庫へ保管します。そこでは鮮度を保つように管理されており、注文量によって徐々に出荷していくのです。

巨大な貯蔵庫

巨大な貯蔵庫

 貯蔵庫とはサイズが大きい冷蔵庫のような物。生姜を貯蔵するための最適温度が13~15℃なので、その微妙な温度ラインをこの巨大な貯蔵庫で維持管理しています。それを下回ると生姜が低温障害を起こし、それより高ければ新芽が発芽してしまいます。温度管理といっても、一見簡単そうに思われますが、普通の冷蔵庫とはサイズや内容量など規模がちがいますので、実際の貯蔵庫内はマイナス40℃近くの冷気で冷やさなければ適温にならないのです。だからこれでも生姜自体は全く凍ることはありません。
 青果物なので、特に品質や在庫管理においてはしっかりやっています。品種や産地によって品質が保てる期間がことなりますので、貯蔵庫では、国産の県内外によって、または国外の物と分けて貯蔵しております。
 本社にある貯蔵庫には、現在は8割減農薬の生姜が4万2千コンテナ、5割減が1万2千コンテナあり、昨年より豊作だったこともあり、これでも今年はコンテナが足らず10月に追加注文をしたほどです。11月が採り入れ時期なので一番コンテナが必要な時期になり、逆に10月が最少になります。とはいえ、生姜屋さんなので全く無くなることはないのですけどね(笑)
 ある一つの貯蔵庫には高知県産の物のみを貯蔵しています。その倉庫は800トンです。1コンテナは、土付き生姜が入って16kgあります。それらを何段もフォークリフトで積み上げているので、下段のコンテナにはかなりの負荷がかかっており倒れないよう慎重に作業をしています。

これまでと、これから。

これまでと、これから。

 当社は、創業以来、生姜を市場へ出荷し始め、生姜栽培農家と共に歩んでまいりました。また農家の要望に応える形で種子生姜の取り扱いを始めたり、製品づくりについては、お客様より希望のある加工商品を開発したりもしております。
(当社商品については自社サイトをご覧下さい)

 そして、時代とともに求められる安全や安心といった信頼を確立すべく、トレーサビリティやISOへの取り組みも行っております。例えば、青果品については、洗浄とトリミングの精度が重要で、加工品については、異物除去に注意が必要となります。大手メーカー様や生協様とのお取引をする際には、ISOへの取り組み体制以外に独自の品質管理基準をもたれているので、その都度、それを達成するために適宜対応した管理体制を追加しながら安全・安心な管理体制を高めていっております。また、当社では検査・研究施設を設けており、酸や塩、または大腸菌群など検査・研究しており、データの収集なども行っております。
 当社では、このように時代の要求する変化にも対応しつつ、栽培農家が苦労して収穫した生姜を無駄にせず、少しでも有益に使うことが使命とも考えております。そして、農産物をめぐる環境変化の折り、「安全・安心」という食品提供会社としての原点にたちもどり、日々の品質管理を徹底していきます。「生姜に夢を求めて」というこの社是に向かい、一層の努力を惜しまぬよう、これからも商品づくりをしていきます。

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