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深層水商品開発物語「可能性への挑戦」[赤穂化成(株)深層水事業所]:海洋深層水(高知県室戸市)

川島一之さん

川島一之さん

 今回お話を伺ったのは、赤穂化成株式会社 深層水事業所 川島一之さんです。赤穂化成株式会社の本社は兵庫県赤穂市にあり、AKOグループとして「株式会社アコール」と「株式会社天塩」があります。
 本社のある赤穂市には、製塩と苦汁工業を中心とする工場があり、また事業の拡大と情報化社会に対応すべく東京支店があります。そして深層水事業所は、海洋深層水関連商品の生産拠点にするため、2000年に高知県室戸市に竣工したそうです。
 赤穂化成株式会社の営業部門では主に4つの事業にわかれており、素材を主体にした「化成品事業」、豆腐の凝固剤が主となる「食品事業」、天塩の販売が主体となる「調味事業」と、海洋深層水関連が主となる「健康事業」があるそうです。この度は、その中でも高知の室戸沖の恵み『海洋深層水』を利用した商品開発についてお話を伺いました。商品ラインナップとしては、海洋深層水からできたミネラルウォーターや健康食品、塩やニガリはもちろん、豆乳やスキンケア用品まで開発製造販売しています。独創的ではありますが、古来より赤穂で有名な製塩などで培ってきた技術を活かした事業を進めているようです。

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赤穂化成株式会社の前身

赤穂化成株式会社の前身

 現在、赤穂化成株式会社 深層水事業所は、高知県の東南端に位置し、室戸阿南海岸国定公園の中にあります。前方に広がる太平洋は、沖へ2kmほど向かうと急激に水深が深くなり、海洋深層水が湧昇流となってあらわれます。その344m深海へ取水管をおろして取水した海洋深層水から、食塩分のみを取り除き硬度を調整したものが当社の『海の深層水「天海の水」』です。

 ここ高知県室戸市沖は、海流の湧昇域であることから深海の栄養塩が海洋表面にもたらされることによって、海洋の生産者である植物プランクトンの増殖をきっかけに、次々と上位の栄養段階にある生物が増えていくため豊富な漁場としても有名で、科学技術庁が海洋深層水の研究・開発モデルに指定した地区でもあります。

赤穂化成株式会社の前身

  当社の歴史としては、1947年 赤穂東浜塩業組合に化成品部門が設立され、海水に含まれる成分の特性や機能についての研究を進めており、結果、食品から医薬、化学工業、製鉄、窯業、そして肥料に至るまでの多方面に使用される商品を開発していました。1971年になると塩を効率的に生産できる「イオン交換樹脂膜製塩法」の登場により、従来の塩田による製塩方法は塩業整備法の施行により廃止となりました。そのため赤穂東浜塩業組合もこれを機に解散することとなりましたが、その化成品部門が母体となって赤穂化成株式会社が誕生することになったのです。

アンテナを張っていたら、偶然!

アンテナを張っていたら、偶然!

 1973年頃、大手企業なども自然の塩を求める声が増大する中、当社ではミネラル分が豊かな自然塩「赤穂の天塩」を開発しました。その後も食品分野では「赤穂の天塩」の姉妹品を次々と開発提供しました。例えば豆腐用凝固剤では、高機能の凝固剤などもそうです。

 そんな折、1905年6月に施行された「塩専売法」も1997年4月に廃止になり、塩の自由化へ。私たちは「赤穂の天塩」を開発しておりましたが、より良い塩となる原料を求めるため、国内外を問わず世界中に目を向け、古来からの海水や汚染されていない海水を常に探しておりました。そうしたある時、偶然に雑誌で「室戸海洋深層水」の記事を見つけたのです。80~100年前のまだ汚染されていない海水を見つけたのです。こんな偶然が室戸の海洋深層水との出会いでした。それからはこの海洋深層水に着目し、更なる商品化開発に取り組むことになったのです。

こだわりの海の深層水『天海(あまみ)の水』

こだわりの海の深層水『天海(あまみ)の水』

 私たちはこの海洋深層水を使って、自社製品である『天海の水』を開発しました。海洋深層水は、室戸沖へ2000mほどはなれた地点の水深344mから吸い上げた深層水を100%使用しています。したがって、いくら300m以上もの深海から取水しているからといっても塩水にはかわりありません。それをミネラルウォーターにするためには、独自の技術を持って塩をとりのぞきます。しかしこの時、「海の水」ならではのミネラルバランス、Ca(カルシウム):Mg(マグネシウム)=1:3は壊さないようにしています。この自然なバランスを壊すことなく皆さまに提供することに大変こだわりをもっているのです。なので当社の『天海の水』は、商品硬度が変わっても、このバランスは全てそのままにしているのです。

 なぜかと言いますと、一時期、厚生労働省は、「日本人は、カルシウムが不足しがちである」と発表していました。そこでカルシウムを摂取するのですが、実は体がカルシウムを吸収するためには、マグネシウムが必要でした。しかも、体内のミネラルバランス成分の比率とよく似ていることもあって、海の水は両方が含まれ自然なバランスが理想的に思えたからなのです。
なお、そもそも海洋深層水について詳細にご欄になりたい方は、当社のHPをご参考にご欄ください。
http://web.ako-kasei.co.jp/

HACCP(ハサップ)を目標に。そして、全国で初!

 当社深層水事業所ではHACCPの取得を目標に足かけ4年の歳月をかけました。そして2003年2月、ついに深層水飲料メーカーとしては日本で初めてHACCPの承認を受けたのです(承認書番号:厚生労働省発中厚第0227002号 食品の種類:清涼飲料水)。

 HACCPとは「Hazard Analysis Critical Control Point」の略で、もともとアメリカの宇宙飛行士が食べる宇宙食のために研究されたもので、宇宙という極めて限られた空間かつ、絶対に事故が発生してはならない状況下で、食品の安全性を保証するために考えられた、科学的な食品製造管理システムのことなのです。

 HACCPは、危害が発生した後で対処するのではなく、危害の発生を予防するシステムのことで、つまり、原材料の調達から始まり最終製品がお客様に消費されるまでのすべての過程において、危害分析(Hazard Analysis)し、重要な工程(Critical Control Point)を特定、それを連続的にモニタリング(監視)することで危害の発生を未然に防止するというものなのです。その他詳細はこちら(http://web.ako-kasei.co.jp/)をご覧ください。

 飲料水会社では当社が承認されるまで、他に取得された会社がいませんでしたので、なかなか参考になる資料もなくとても苦労しました。しかし、科学的なデータに基づき、マニュアル化を実現しました。工場の構造、人の出入りや蛍光灯にホコリがたまらない等、工場のいたる所で厳しい衛生管理をしています。そして、太陽の光の届かない水深200m以上もの海水を使ったミネラルウォーターの未知な部分を1つでも多くクリアなものにし、衛生管理されたものであるという承認をいただくことで、お客様に安心して安全な商品を提供したかったのです。

進む!研究。

進む!研究。

 海洋深層水は薬ではありませんが、その効用がどのようにあるのか、高知大学医学部がとても協力的に研究に携わってくださいました。海洋深層水より調製した高ミネラル水のヘリコバクター・ピロリ菌に対する影響について検討し、日本臨床検査自動科学会第37回大会にて発表したり、2006年5月にはアメリカで「室戸海洋深層水から調製した高ミネラル水による、ヘリコバクター・ピロリ菌の増殖抑制と運動性阻止に及ぼす影響」について発表しています。そして、まだ新たなるミネラルや微生物の研究を行っていき、皆さまや地域など様々に貢献できるよう、海洋深層水事業にこれからも取り組んでいきます。

 2009年の今年、『世界料理サミット2009 TOKYO TASTE』で「海の深層水 天海の水」がオフィシャルウォーターに認定されました。そして、同じく「赤穂の天塩」がオフィシャルソルトに認定しました。このように一般的に認められるということは大変うれしく思いますし、また私どもの今後の励みにもなります。私たちの製品化技術と研究が皆様のより良い暮らしに活かされるよう、今後とも品質向上を目指し、あらゆる可能性に挑戦してゆく会社でありたいと思います。

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