ホーム > 土佐食彩物語 > こだわりお茶物語「安全で健康なお茶を全国へ!」[農事組合法人曙茶業組合]:釜炒茶、玉緑茶、煎茶などを製造。(高知県高岡郡津野町)

土佐食彩物語

四万十の恵み物語「手間ひまかけたおいしい青のり」[有限会社 加用物産]:青のり、青さのりなどを使った製品の製造。(高知県四万十市井沢)

稲田幸子さん(左)稲田廣喜さん(右)

稲田幸子さん(左)
稲田廣喜さん(右)

 今回お話をうかがったのは、農事組合法人曙茶業組合代表理事の稲田幸子さんと専務理事の稲田廣喜さんです。
 農事組合法人曙茶業組合は、高知県の高岡郡津野町(旧の東津野村)にあります。この津野町という所は、日本で最後の清流ともいわれる『四万十川(しまんとがわ)』の源流地点に位置し、2005年に市町村合併をする以前は、東津野村といいました。津野町は南国高知といえども冬になると雪が積もるほど降るところです。今シーズンも昨年11月から雪が降ったりしています。そんな標高の高い津野町で栽培するこだわりのお茶づくりについてお話をうかがいました。

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はじめまして『農事組合法人 曙茶業組合』です。

 農事組合法人曙茶業組合は、以前から別の名前で建設業を営んでいました。その社長は、自家用として農薬を使用せず水稲や野菜を栽培しており、農産に興味を持っていました。同社理事も、『もともと食物は人の健康に直接関わる物。』だから安全な食物というものについて考えていました。
 そんな折、同町では昭和62年度から国営農地開発が始まり、それがきっかけで常日頃より気にかけていた『安全な食物』を消費者に届けよう!と考えまして、同町で栽培が盛んだった山間部農業で有利な作物でもある『お茶』の栽培を始めることにしたのです。農産物の栽培に興味はあったものの本格的に取り組むとなると経験のないことなので、苗木の植え付けの仕方から勉強しなければなりませんでした。しかも経済的な事情をお話すると、私どもはそれまで農業部門における販売実績がなかったため、新規参入ということで金融機関からの借り入れができず、自己資金で農地を取得しなければならなかったのでとても大変でした。
 そうして平成元年より圃場の整備を開始し、平成2年よりやっと植え付けを行いました。平成3年に「農事組合法人 曙茶業組合」を設立することになりました。
 私どもの『お茶づくり』にかける思いは、ひとむかし前の作りっぱなしの農業というものから脱却し、お客様にとって味も良くお腹の中に届くまで責任を持てる安全なものしかつくらない!という大変に強いこだわりを持って栽培を行ってまいりました。

『安全』には自信があります!JAS有機認定圃場

 わたくしどものお茶は『おいしい!』というのもさることながら、『安全』ということにはなにより自信があります!
 私どもがお茶の生産事業に進出した当時は、現在ほどは『食の安全』というものについての関心は高まっていませんでしたし、お茶の栽培につても「無農薬で無化学肥料の農法は不可能だ」とも言われていました。
 しかし私自身が安全だと思わないものは食べたくないし、みんなにも安全なものを安心して食べていただきたいという思いが強かったので何とかならないものかと思案しました。そこで思いついたのが、農薬や化学肥料の無い時代のように栽培を行えば良いのではないか!ということです。そうして無農薬で無化学肥料の農法を行いました。すると、結果的にはあたりまえではありますが収量が減少し、人力労務は激増するというとても大変なものでした。
 無農薬で無化学肥料の農法は、近年はよく耳にもしますが、そのなかでも農林水産省の管轄のもと、適正な表示を行わせるために法的強制力を持たせた第3者が認証する制度は、いわゆる『有機JAS法』といわれます。私どももこの認定を受けているのですが、これは認定を取得するための審査を一度取得すればずっと、という事ではなく、毎年の審査が必要となります。なので、私たちも毎年認定機構の立ち入り調査を受けております。

『安全』には自信があります!JAS有機認定圃場

お茶はゆったりといただくもの!

お茶はゆったりといただくもの!

 化学肥料を使うと、成長を早めたり色をよくしたりすることが出来ます。また農薬を散布すると病気や虫からの被害を簡単にさけることができます。しかし、それらは私にとっては無理やり成長させたり増やしたり、見た目を整えても茶葉を有毒にしているようにしか思えませんでした。私にとって『お茶』はゆったりとした気分で、まさにゆったりといただくものだと思っていただけに、農薬を散布している現場を見たときには、なんてことをしているのかというショックをうけたほどでした。
 お茶は、自動販売機などで売られている飲料水の中でも種類が豊富に出てきているように、とても人気があり日常的に飲まれていている飲み物です。他の食べ物には敏感に国産であるか、または有機栽培であるかと気にかけて選択している人も多くいらっしゃるかと思いますが、飲み物についても同様にこれからは選択していただきたいなぁと思うのです。

自然な環境の中で、そして、手間をおしまず

自然な環境の中で、そして、手間をおしまず

 虫がくるのは当たり前です!それだけおいしい茶葉であり、消毒をしていないという証でもあります。また虫や鳥が連鎖する自然のサイクルがある環境の中で栽培されているという証拠です。だからといって栽培している『お茶』をただただ虫たちに食べさせたり雑草を伸び放題にしたりしているわけではありません。特に茶葉に穴が開くほどの被害を出すミノムシや、茶葉に混ざると味がおちる葛(カズラ)類は手作業で除去します。2008年の夏もたくさん手作業で除去しました。取り除くのは本当に大変な作業です。
 それから有機栽培は、化学肥料や農薬を散布する栽培方法に比べると収穫量がおとります。しかし、安全でないものをいくら栽培しても販売できない物を栽培しても、無いものと同然です。
 私どもの『お茶』は手間をおしまず栽培し収穫されたお茶ですので、価値もそれなりになりますが、自然な環境で栽培されたお茶は本当に味も良く自慢のお茶と言えるほどの出来ばえなのです。

寒暖の差がお茶をおいしくしてくれます。

寒暖の差がお茶をおいしくしてくれます。

 全国的にお茶といえば静岡県というイメージがあることと思います。まさか『お茶』というキーワードで高知を思う人はなかないないと思います。実際、東京へ販売に行き、試飲コーナーを設けていたのですが、通りかかったお客様も「高知のお茶ですか?!」とご存知でない様子だったのですが、試飲していただくと「たいへん美味しいです」と高評価をいただきました。
 ここは南国といわれる高知県ではありますが、その中でも当茶園は、標高約600メートルに位置しており、冬ともなれば極寒の地となります。高知の平野部では何日も雪が積もったままになることはそうそうありませんが、こちらでは雪も積もりますし凍害の恐れもあります。夏は雑草や虫と闘い、冬は凍害との闘いとなるのです。そうして味・香味ともに大変評価の高いお茶が収穫されています。私どもの『お茶』は品評会で1位をとるほど本当においしいお茶ですので、こだわりだけでない美味しいことを味わってみて下さい。

四万十川の源流点を大切にしています

四万十川の源流点を大切にしています

 私どもの農園は日本で最後の清流ともいわれる『四万十川(しまんとがわ)』の源流地点に位置します。もし私どもの農園で農薬や化学肥料など使用していたら、雨水や土、その他の養分と一緒にその川などに流れ込むことになります。その川に流れる水量に対してはわずかな事かもしれませんが、その川のめぐみをうけている魚や植物、しいては人にまで悪い影響を起こすかもしれないという要因であるなら少しであっても出来るだけ使いたくないし、川も大切にしていきたいなぁと思っています。

販路の拡大にがんばっています

販路の拡大にがんばっています

 有機栽培にこだわりをもって美味しいお茶を生産していますが、商品化されるまでの過程でそれを他の茶葉に混ぜられたりすることのないよう、加工する工場も持っています。そこでは『有機釜炒茶』・『有機玉緑茶』・『有機煎茶・有機粉末茶』の3種類の製造工程ラインを整備していいます。
 私どものお茶は、まだまだその価値を上手く宣伝できずにいます。生産者でありながら製造者でもあり、販売者でもあります。現在では製品の多くを直販しているのですが、もっともっとPRしていきたいと考えており、全国各地の百貨店やデパートへ出むいてお客様探しの旅を展開しております。その他では、このようにインターネットなどでもPRしているのですが商売については上手で無いかもしれません。しかし、正直でまっさらな美味しい茶であることは間違いございませんので、私たちのこだわりを、安心して飲んでいただけるという価値をこれからもPRしていきたいと思っています。
 そもそも私どもで販売している商品の味わいを簡単にご紹介すると、『釜炒茶』は香ばしく、喉ごしもよくサッパリしており、『玉緑茶』は、甘味がありまろやかな味わいです。『煎茶』は香が高く、コクがございます。
 今後はインターネット販売なども力を入れてみようかと思案しておりますが、それまでにも私どものお茶を是非とも一杯のんでみませんか。

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