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アイディアひらめき物語「よさこいくじらができるまで」[御菓子司 小笠原]:こだわり素材の和菓子を製造販売(高知県高知市本町天神橋通り)

小笠原健一氏

小笠原健一氏

 今回お話は、高知市本町天神橋通りにある『御菓子司 小笠原』の店主 小笠原健一さんにうかがいました。『御菓子司 小笠原』は昭和24年に小笠原のお父さんが創業して以来ずっと59年間、同じ場所で変わらぬ味を皆様にご提供し続けています。天神橋通りは、その南方に高知市では有名な『鏡川』が流れていて、その名のとおり『天神橋』という橋が架かっています。この天神橋付近の鏡川河畔は、夏になると高知市納涼祭が開催される場所で、花火も打上げられます。ですからお祭りの当日は、天神橋からも花火が奇麗に見えて大変にぎわう所です。

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お菓子でカルシウム補給!

お菓子でカルシウム補給!

 『よさこいくじら』というお菓子は、栄養成分を明確に表示しています。なぜかというとそれを見て注目してほしいのは、ビックリすることに『よさこいくじら』には1個(約40g)当り『カルシウム』が200mgも含まれているのです。これがどのようにスゴイことかと言いますと、成人男性が1日に必要とされる『カルシウム』量が600mgといわれているので、このお菓子1個でその1/3を摂ることができてしまうのです。カルシウムが豊富といわれる牛乳やチーズが苦手な人でもこれなら召し上がっていただけるのではないでしょうか。

 また、カルシウム200mlというと牛乳1本に含まれる量に相当します。しかもこのお菓子に含まれるカルシウムは、天然のカルシウムが使用されています。

 そこで、その天然のカルシウムとは何かというと、またまたビックリすることになんと!『サンゴ』なのだそうです。そうです!あの海にある『サンゴ』なのです。

『よさこいくじら』ができるまで

『よさこいくじら』ができるまで

外はサクサク!中はふっくら!

 『御菓子司 小笠原』の店主 小笠原さんがどうしてこのような『サンゴ』を使ったお菓子を作ることになったかお話ししましょう。

 小笠原さんは今から11年ほど前、『現代のこの飽食時代にもかかわらず、現代人にはカルシウムが不足している』という記事を新聞記事などみて、気になっていたのだそうです。そして、『それなら自分はお菓子屋さん!お菓子という嗜好品を食べてもらうことで、そのカルシウムが摂れたらいいなあ!』と漠然と思っていて、カルシウムには、鰹の骨がいいのではないかと思っていました。鰹といえば、高知県では土佐の一本釣りであまりにも有名な魚。県内の鰹を扱うたくさんの加工食品会社などでは、そのアラとともにたくさんの骨も不要とされているそうなので、それを活用できれば、なお良い事ではないかと考えていました。

 そんな折、たまたま旅行中のバスの中で隣合わせた高知市の職員の方にそんな事を話していると、高知市ではお菓子づくりの開発にむけて助成金を提供してくれる制度があるのでそれを利用して開発されてみたらどうだろうかと提案をもらいました。そこで早速、小笠原さんは旅行から戻ると、高知市を訪ね、その制度が利用できるよう市の担当者へ自分の思っている話をしました。そしたら、その担当者が『鰹の骨では、いまいちインパクトにかけるのでサンゴにしたらどうでしょう』という提案があり、小笠原さんもその斬新なアイデアに気分は高まりました。そして市の担当者にそのサンゴというのはどうやってお菓子作りに使うのか聞きました。すると『それは、わかりません。』と言われて、その使用方法を調査するところから始まりました。

『よさこいくじら』ができるまで

使用しているサンゴの原形

 もともと『サンゴ』は、その宝飾屋さんで製品に使えないサンゴの取り除いた部分や研磨カスなどが大量に出て、処分に困っているという話を聞いたことがありました。それに『サンゴ』というのはカルシウムのかたまりらしいという事も聞いて知っていました。しかし、サンゴを食べられるように加工する方法はわかりませんでした。食品に混ぜるためにはどうしたらよいのでしょう。考えたのは、まず粉末にすればよいのではないかと思いましたが、粉末にするといってもなかなかサンゴは堅いし、削ったり砕いたりするのも、食品として取り扱えるためには、食品としての安全面や衛生的なことにも気を配らなくてはなりませんので、その方法は簡単には思い当たりませんでした。そこで、高知県の工業技術センターへ出向き、食品担当の方に相談してご協力をいただきました。そして、しばらくして工業技術センターより何とかサンゴを粉末の状態にした試作品ができあがったということでしたので、即座に持ちもどり、お菓子に混ぜて、試作品を食してみました。すると、まあ簡単にはいかないものですね。歯ざわりがジャリジャリして食べられたものではなかったそうです。気を落としていたのですが、知人にそれを話すと工業技術センターでも食品課ではなく、他の課を紹介してくれました。それは石を砕くなどができる専門の課でした。そこで同じように状況を説明すると、今度はまた別の方法でサンゴを砕き、ついには粘土状になるまでくだくことができ、水分をとばせば、化粧品のパウダーほどの粒子にすることができました。こうしてできた珊瑚の粉末を使って作り上げたお菓子が『よさこいくじら』なのです。

『よさこいくじら』はすごいのです!

『よさこいくじら』はすごいのです!

 『よさこいくじら』の開発に至っては、平成11年に農林水産大臣より、地場産業奨励賞をいただきました。これはその年は小笠原さんを含め、3社が受賞したのですが、決してお菓子作りにのみ限られた評価ではなく、全国の小さな店から大手企業まであらゆる食品の分野の垣根を越えて評価された結果だったのです。受賞式典に行き、分野別受賞者やこの受賞者リストみるとお酒や食品でもよく見る大手企業さまも名を連ねていたので、後になってじわじわとすごい賞をいただいたのだなあと実感が沸いてきたのだそうです。

ひらめく☆のは難しい!

ひらめく☆のは難しい!

 小笠原さんのこだわりは、厳選された原材料を使うということです。そして新商品の開発についてもそうですが、他にないものを提供していきたいなあと考えているそうです。

 例えば、夏向けにはピッタリのコーヒー味のわらび餅『カフェオレタイム』というオリジナル商品があります。これは本わらび粉を使っていて、一見コーヒーゼリーのように見えるのですが、食感はもちもちとしていて、間違いなくわらび餅なのですが、味はまちがいなくコーヒー味で、こんなわらび餅は他に無いのではないでしょうか。また、他にないもの!という意味では、『よさこいくじら』も他の店にない商品の一つといえます。天然のカルシウムである『サンゴ』を使ったお菓子で、且つ、お菓子を食べてカルシウムが摂れる!他にはないですよねえ!

 『よさこいくじら』は高知市へ助成金制度の申請をだしてから2年がかかりました。新製品は2年に1個は作りたいなあと常にアイデアを考えているのですが、そう思いつつも日々の業務もあるし、思いを形にするためにひらめく事はなかなか難しいといつも苦労しているそうです。

いつでもどこでも買えません。

 『御菓子司 小笠原』さんの商品は、主に対面販売で、一つ一つ手作りなので大量生産も出来ません。しかし、ココにしか無い味をわざわざ店頭まで足をお運びになってお買求めくださるお客様がいらっしゃいます。それをとてもありがたく、大事に思っています。だからこそ誠心誠意をこめた製品造りとそんなお客さまの顔がみられる対面販売を大切にしていきたいと考えているそうです。

 以前、デパートのお菓子販売イベントがあった際、大手企業さまのお菓子も人気があったのですが、とくに遠方からこられたお客様にとっては、せっかくこちらへ来たのだからと、何処でもいつでもあるお菓子でなく、ココにしか無い当店のお菓子を好んでお買求めいただいたことがあったそうです。小笠原さん自身が職人でありながらも店頭で販売もしていたので、お客様にとっては、日頃お菓子作りで上手くできない事や、その製法について質問があったりして、お客様との会話も大変もり上がったので、イベントの主催者にも、とても喜んでいただいたということもあったそうです。

いつでもどこでも買えません。

『御菓子司 小笠原』では、他に無いものもご提供していきたいと考えつつも、これまでの伝統ある和菓子も大事に作っておられるそうです。ぜひココにしか無い味をお買求めにご来店下さい。

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