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土佐食彩物語

素材こだわり物語「麩づくりの原点と土佐食材の融合」~麩と向き合って~[(有)横山製麩所]

横山明さん

(有)横山製麩所は、こだわりのお麩(ふ菓子・生麩・焼き麩・麩まんじゅうなど)を県内外で販売している昭和23年創業の老舗です。代表取締役社長である横山明さんにお話を聞きました。
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今月の注目食材は「お麸」!

今月の注目食材は「お麸」!

今月の注目食材は「お麸」!

 当社は現住所での創業は昭和23年(1948年)で、今年で58年目を迎えました。
 「日本のおいしさを伝えます」をキャッチフレーズに、麸の原料となる小麦粉やもち粉等、品質が優れていて美味しい素材を全国から積極的に取り寄せております。もちろん、土佐の代表的な地場産品である柚子・生姜・四万十青のりなどや、四万十川源流の湧き水と室戸海洋深層水といった自慢できる良質な素材を使って製品作りに取り組み、まごころを込めて皆様にお届けしております。

来たれ!「お麸」ブーム!

来たれ!「お麸」ブーム!

 「お麩」といえばみそ汁やお吸い物に少し入っているもので、メインの食材として意識することは少ないと思います。
 しかし、調理法によっては幾らでもおいしい主菜やお菓子なんかも作ることができる食材なので、普段からご家庭に常備しておけば、忙しくて買い物に行けない場合や小腹が空いたとき、大変重宝する食材なのです。これからは「お麸」の調理方法についても注目してほしいですね!

 「お麸」の栄養成分として多く含まれるグルテンには、【グルタミン酸】が多く含まれます。【グルタミン酸】は脳の中で情報を伝える神経伝達物質の材料となり、特に学習能力をアップさせるそうなんです。また、カロリーが少ないので、ダイエット効果も期待できますね。

「お麩」の主原料は小麦!

「お麩」の主原料は小麦!

 「お麸」はどうやってつくられているか知っていますか?
 「お麸」作りに欠かせないのは、なんといっても小麦粉です。そしてたんぱく質であるグルテンです。グルテンには膨張作用があり、これによって「お麸」が膨らむことができるのです。
 グルテンの抽出方法ですが、水と少量の塩を混ぜて練り合わせていくと、伸びる性質のタンパク質と伸びない性質のタンパク質がからみ合って合成されていきます。この合成されたタンパク質をグルテンといいます。このグルテンは水に溶けませんので水洗いを繰り返すと水に溶ける成分のデンプン(白い汁)が流されてゴムのような弾力と伸びのある固まりであるグルテンが残ります。
 このグルテンは、元の小麦粉の量からいうと多く取れても3分の1の量になります。例えば25kgなら8kg取れると良いほうで、少ないときは4kgほどしか抽出できない場合もあり、なんとも貴重なものです。
 しかも、国内産の小麦は、タンパク質が少ないので取れるグルテンの量は更に少なくて、外国産の小麦粉からとれるグルテンと同じ量を買うとなると、どうしても高価になってしまいます。
 ちなみに、昔はどこのお麸屋さんも自家製でグルテンを抽出していました。当店も、地下水をくみ上げる設備があり、自家製のものをつかっていましたが、現在では環境問題に対する排水の規制ができましたので、その設備が整った施設でなければ作れなくなってしまいました。
 さて、このグルテンにもち粉を加え、蒸したりゆでたりすると「生麸」ができるのですが、「焼き麸」にするには“あわせ粉”といって再び小麦粉を加えて練り合わせ、釜にはりつけたり、型に入れたり、棒に巻きつけたりして焼いたものが「焼き麩」です。
この様に自然の素材だけを用いているので、お子様からお年寄りまで安心して食べられる身体にやさしい健康食品として健康志向の人々に植物性タンパク、低カロリーの「お麩」の良さが見直されるようになっています。

『手焼き 国内麦おつゆ麸』

 もともと当店の「お麸」は、外国産小麦を原料とする小麦粉ばかりを使用していました。実際に供給量が多いですし、販売する際の価格的な問題もあったためですが、これからは量よりも質を買い求めるお客様方が増えるのではないかと考え、国内産の小麦粉にこだわった商品をつくることにしました。国内産の小麦を使うわけですから、小麦の成分をまるごといただこうという発想で石うすで挽いた小麦粉(表皮は取り除いたもの)を用いています。
 もちろん膨張剤や添加物は一切使用せず、国内産の小麦から取れる小麦粉とグルテンを使用しております。更に小麦粉とグルテンを混ぜ合わせる際使用する「仕込み水」にもこだわりました。高知といえば、小京都とも呼ばれる四万十市(旧中村市)に流れ出る四万十川ですよね。その源流の“いらず山”の湧き水を使用しています。成分は超軟水です。
 店頭に買い物に来られたお客様から源流域に行ったことがあるという話しを聞き、私自身、どんな所なのか興味がありお客様に尋ねてみると「裸足でないと踏み入れないような(神聖そうな)場所だった」とおっしゃっていたので、私はとても興味をもち、配達の後そのまま車で行ってみました。そして、途中から徒歩でその源流点まで行きました。この辺は、民家もなく汚染の心配をすることもなく、お客様のおっしゃられた通りの所で、山の環境がすごく良かったので、「この水にしよう!」と思いました。冷たくてすごく気持ちいい美味しい水をお腹いっぱいになるまで飲んで帰ってきました。
 この商品の小麦は、ゆっくり時間をかけて石うすで挽いた香川県産小麦100%を使用しており、国内麦グルテン(小麦蛋白質)100%を加え、ひとつひとつていねいに手焼きした口あたりのよいおいしい麸です。
 市販される麸の中には「国内産小麦使用」というキャッチフレーズの物をたくさん見ますが、あわせ粉に国内産の小麦を使用してはいますが、よく見るとグルテンは外国産の小麦粉から抽出した物もあるので、こだわってお買い求めになる方は表示を確認してみると良いでしょう。

Simple is Best ~こだわった先は原点~

 「良質な材料、成分の選択、安心で安全な製品であれ。」とこだわって製作に奮闘していると、はっと気づいたんです。『結局これって「お麸」づくりの原点にかえっているなぁ。』と。
 思い返してみると先代の社長である父も昔「お麸」をつくっていたんですが、その時と変わらないなぁということです。当時はまだ小麦を水車で小麦粉にしていました。それを使ったお麸が最高のできだったと父に聞いたことがあります。

毎日が戦いですよね?!

 製造している職人の方には共通していえると思いますが、毎日、同じ分量、同じやり方をしても全く同じものはできませんよね?!
 お客様にとっては同じようなものに写っても、一様に杓子定規なやり方では、一定の同じ製品をつくることができないのです。いくら仕入れる原料が同じ配合でも質が異なるし、日によって気候(温度・湿度など)も違うので、同じ製品に仕上げるため、毎日、戦っています。
 例えば焼き麸ですが、商品の袋の内容量に20gと書かれてあれば必ず20g入っていなくてはならないのですが、焼き具合によって膨らみ過ぎると、おっと!20g袋に収まらないという事態になってしまい、食用には問題なくても販売できないということになるので、そうした事にならないよう戦っているのです(笑)。

手焼き 国内麦カルシウム麸

 こちらの商品のこだわりは、仕込み水に室戸沖の海洋深層水を使用したことと、地元の特産品で有名なサンゴと鰹のカルシウムが入っていることです。
 グルテンを抽出する際、水の硬度が高い水(地下水)は、グルテンの元となる成分どうしが網の目状に絡み合うのを助ける働きがあります。海洋深層水も同じく脱塩したとはいえ、マグネシウムやカルシウムなどが含まれており硬度がある程度あるので、出来た生地は、弾力性が強くて焼く前の作業としては、とても伸びにくいものでした。けれどその分、お麸としては煮崩れしにくい良い製品に仕上がりました。
 サンゴについては、もともと汗疹(あせも)に海水がいいという話や、あるサンゴ屋さんの家族の方が蕁麻疹(じんましん)が出たときにサンゴを粉砕して水に溶かして飲むと良くなったという話からヒントを得て、「よし!サンゴいれよう」ということになりました。そして、サンゴを粉砕して微粉末にする業者を探し、製品に混ぜ合わせることができました。
 北海道小麦(ハルユタカ、ホクシン等)、国内産小麦グルテン100%で作っています。
 本品は、室戸海洋深層水を逆浸透膜ろ過した脱塩水100%を仕込み水として使用し、 よく吟味した小麦粉にグルテン(小麦蛋白質)を加え手焼きした植物性蛋白食品です。特徴として、海の幸のサンゴとかつおのカルシウムを多く含み、あわせてリン・カリウム・ マグネシウム・鉄分・亜鉛も含む大海の恵みと国産麦100%の小麦と国内産小麦グルテン100%に こだわったおいしい麸です。
 この製品は、カルシウムつながりの新しいコラボレーションですが、海にはやっぱりまだまだ体によい未知なる効用があるのだろうと関心が高まりました。   

Fu-gazer ~麸と向きあって~

あなどるなかれ美味しいだけではありません

 「お麸」は素朴なものですが、こだわり所はたくさんあります。地元で出来た物を使った新商品の開発についても日々探求しております。行きづまったり失敗したりもありますが、地元の産・官・学、さまざまの分野の有識者の方たちにも色々とご教授いただいたりしています。
 県内外のお客様に地元色のある当店の商品を、この地元高知から発信することを基本に、発信方法についても積極的にアンテナを広げて考えております。
 一つは、インターネットショップの開店です。最初は、全く知識の無い状態でしたが、自分で取り組んでみようと思い無我夢中でつくりあげました。
 結果的には、最近では「お店のもう一つの顔」とも言われる自社ホームページの作成をし、苦労しながらも運営できている事は良かったと思います。実際は「大変な分野に踏み込んでしまったなぁ。」という思いもあるんですけどね(笑)。
 ホームページをご覧になったお客様からの注文は、たいへん便利にご利用いただいております。
 また報道関係からの取材を受けるなど、お店の宣伝にも一役かっているようです。

 これまで「お麸」の商品開発と通販部のホームページ運用について、つまずきや苦労もありましたが、その都度様々な方のご協力のおかげもあり、乗り越えることができています。
 これからは、こだわりの製品化や、市場を広げる等多くの目標もあります。時には原点に立ち返りながら、ますます探求していこうと思ってます。

麩(ふ)のこんな使い方ご存知ですか?

麩を粉にしたアイディア料理

  • ハンバーグ・肉団子のつなぎとして(パン粉の代わりに)
  • だし巻き卵に(卵3個、麩の粉10g、だし汁100cc)
  • お好み焼きに(小麦粉2:麩の粉1)
  • いわしのつみれ汁に(いわしに混ぜて)
  • クッキー作りの小麦粉に混ぜて
  • 野菜いため・大根おろしに(水分を吸ってくれます)
    ※レンジに1~2分間かけてからつぶすと簡単に細かい粉になります。

その他のこだわり商品は横山製麩所ショッピングサイトで販売中!

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